命式の地支の下に「帝旺」「墓」「沐浴」といった言葉が書かれているのを見たことがあるでしょうか。これが十二運星(じゅうにうんせい)です。字面だけ見ると「死」や「病」にどきりとしますが、四柱推命での意味はもっと穏やかで、日干の勢いが今どの段階にあるかを、人の一生になぞらえて表したものです。この記事では、十二運星の早見表と調べ方、12の星の意味、流派による違い、大運での見方までを一つの実例でたどります。

1 十二運星とは――日干の勢いを十二段階で表す

十二運星は、生まれた日の天干である日干(にっかん)が、十二の地支それぞれの上でどんな状態にあるかを示すものです。当サイトでは日干を日主(にっしゅ)とも呼びます。古典では長生十二宮とも呼ばれ、当サイトの十二長生の記事でもこの理論を扱っています。名前は違っても同じ体系です。

考え方は、命が宿り、生まれ、成長して頂点を迎え、やがて衰えて土に還り、また次の命が宿る、という一巡りを十二の段階に分けたものです。干がどの地支に乗るかで、その干が勢いを増している途中なのか、頂点にあるのか、力を蓄えて休んでいるのかがわかります。

日本の四柱推命では、日干を基準に年支・月支・日支・時支の四つを見て、四つの十二運星を命式に書き込むのが一般的です。中でも日柱の十二運星は、その人の持ち前の力の出し方を表すものとして特に重く見られています。

2 12の星の名前と順番

十二運星は次の順番で巡ります。胎から始めて絶で一巡りし、また胎へ戻ります。

順星読み段階のイメージ
1胎たい母胎に命が宿る
2養よう胎内で守られて育つ
3長生ちょうせい生まれ出る
4沐浴もくよく産湯をつかう幼い時期
5冠帯かんたい冠と帯を着ける成人
6建禄けんろく社会に出て自立する(臨官とも)
7帝旺ていおう勢いの頂点
8衰すい頂点を過ぎて落ち着く
9病びょう動きがゆるやかになる
10死し動きが止まり静まる
11墓ぼ蔵に納められる
12絶ぜつ形が絶え、次の宿りを待つ

建禄は臨官(りんかん)とも呼ばれ、古典や当サイトの古い記事ではこちらの名前も使われています。

3 十二運星早見表(10×12)

左の列で日干を探し、その行を右へたどって、調べたい地支の列と交わるところが十二運星です。網かけは長生と帝旺の位置です。

日干\地支子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥
甲沐浴冠帯建禄帝旺衰病死墓絶胎養長生
乙病衰帝旺建禄冠帯沐浴長生養胎絶墓死
丙胎養長生沐浴冠帯建禄帝旺衰病死墓絶
丁絶墓死病衰帝旺建禄冠帯沐浴長生養胎
戊胎養長生沐浴冠帯建禄帝旺衰病死墓絶
己絶墓死病衰帝旺建禄冠帯沐浴長生養胎
庚死墓絶胎養長生沐浴冠帯建禄帝旺衰病
辛長生養胎絶墓死病衰帝旺建禄冠帯沐浴
壬帝旺衰病死墓絶胎養長生沐浴冠帯建禄
癸建禄冠帯沐浴長生養胎絶墓死病衰帝旺

この表は二つの決まりで作られています。

☯覚え方のこつ:陽の干は季節の入り口にあたる寅・巳・申・亥のどれかで長生を迎え、季節のまんなかにあたる子・午・卯・酉のどれかで帝旺になります。陰の干はその鏡写しで、子・午・卯・酉で長生、寅・巳・申・亥で帝旺です。長生の位置さえ覚えれば、陽の干は順に、陰の干は逆に数えて残りの星が出せます。

4 流派によって結果が違う理由

十二運星は、流派によって表そのものが違うことがあります。代表的なのは次の二点です。

そのため、日干が甲・丙・庚・壬の人はどの表でもほぼ同じ結果になり、乙・丁・辛・癸、そして戊・己の人は、見るサイトや本によって違う星が出ることがあります。どちらが正しいと言い切れる問題ではなく、それぞれに古くからの根拠があります。当サイトは陽順陰逆、戊は丙、己は丁と同じという方式で一貫して計算しています。

もう一つ、各柱の天干をその柱の地支で見る方法を併用する流派もありますが、当サイトの命式に表示される十二運星は、すべて日干を基準にしたものです。

5 十二運星の調べ方

  1. 命式を出して日干を確かめる。日柱の天干が日干です。日柱は暦の日付で決まるので、無料の命式作成や万年暦で確認できます。
  2. 早見表の日干の行を見る。年支・月支・日支・時支の四つの列で星を読み取ります。
  3. 日支の星が日柱の十二運星。日本の四柱推命でとくに注目されるのがこの星です。

四つの柱には、伝統的に人生の時期や領域が重ねられています。年支は幼少期や家系、月支は青年期や仕事・社会との関わり、日支は自分自身と配偶者、時支は晩年や子どもとの関わりです。

例A:日干が戊の命式

1988年7月12日9時30分、東京生まれの女性の命式です(当サイトの計算では真太陽時の補正で9時43分として扱われます)。日干は戊です。

年柱
戊
辰
冠帯
月柱
己
未
衰
日柱
戊
辰
冠帯
時柱
丁
巳
建禄

早見表の戊の行で辰を見ると冠帯、未は衰、巳は建禄です。日柱の十二運星は冠帯で、人前に出て評価されることで力を出すタイプと読めます。年支も冠帯、時支が建禄と、成長期から自立期にかけての勢いのある星が並んでいます。

面白いのは月支です。未での戊は衰ですが、当サイトの計算ではこの日干は強いと判定されています。未は土の地支で、月という最も影響の大きい位置にあり、蔵干の己・丁が戊をしっかり支えているからです。十二運星は日干の強さを測る材料の一つですが、それだけで身強・身弱は決まりません。強弱の見方は日主の強弱の記事で解説しています。

6 日柱の十二運星:60干支の一覧

日柱の十二運星は、日干と日支の組み合わせだけで決まります。つまり生まれた日の干支がわかれば、時刻がわからなくても調べられます。60通りの日柱を十二運星ごとに整理すると次のとおりです。

日柱の十二運星該当する日柱
長生丙寅・壬申・戊寅・丁酉・癸卯・己酉
沐浴甲子・庚午・乙巳・辛亥
冠帯戊辰・丁未・癸丑・丙辰・己未・壬戌
建禄甲寅・乙卯・庚申・辛酉
帝旺己巳・丙午・壬子・丁巳・戊午・癸亥
衰乙丑・辛未・甲辰・庚戌
病丁卯・癸酉・己卯・丙申・壬寅・戊申
死乙亥・辛巳・甲午・庚子
墓丁丑・癸未・丙戌・己丑・壬辰・戊戌
絶甲申・乙酉・庚寅・辛卯
胎丙子・壬午・丁亥・戊子・癸巳・己亥
養甲戌・庚辰・乙未・辛丑

表を見ると、日柱で帝旺になるのは丙・丁・戊・己・壬・癸の日干だけで、甲・乙・庚・辛の日干は日柱で帝旺になりません。干と支の陰陽が合わず、そもそも干支として並ばない組み合わせがあるからです。それぞれの日柱の性格は60の日柱の記事で詳しく紹介しています。

なお、23時以降に生まれた場合、当サイトでは日柱をその日のままとし、時柱の干だけを翌日の基準で出しています。日柱そのものを翌日に切り替える流派もあるため、この時間帯の生まれの方は、本やサイトによって日柱の十二運星が違って見えることがあります。

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7 12の星の意味

ここからは各星の性質を、日本の四柱推命でよく読まれる形で紹介します。日柱の十二運星として読むと、その人の力の出し方として最もわかりやすく表れます。

胎(たい)

命が宿ったばかりの段階です。何にでも興味を持つ好奇心と、まだ形の決まっていない柔らかさの星で、新しいことを始める感覚に優れています。関心が次々に移りやすく、迷いやすい面も持っています。

養(よう)

胎内で守られて育つ段階です。人に可愛がられ、周りの助けを自然に受け取れる星で、穏やかで人当たりのよさが持ち味です。守られた環境に慣れると、自分で決めることを先延ばしにしがちです。

長生(ちょうせい)

生まれ出たばかりの段階です。素直さと品のよさ、学んだことをよく吸収する力の星で、目上の人に引き立てられやすいとされます。のびのびしている分、競争の場ではおっとりしすぎることもあります。

沐浴(もくよく)

産湯をつかう幼い段階です。変化と自由の星として読まれ、新しい環境やおしゃれ、恋愛への感度が高いのが特徴です。気分の波や飽きっぽさとして出ることもあり、落ち着き先を自分で選び取ることがテーマになります。

冠帯(かんたい)

冠と帯を着けて一人前になる段階です。華やかさとプライド、自立心の星で、人前に出て評価される場で力を発揮します。勢いがある分、背伸びや見栄として出ることもあります。

建禄(けんろく)

社会に出て自分の禄を得る段階です。堅実で自立心が強く、自分の力で生活の基盤を築く星です。地道さと実務能力が光る一方、人に任せるのが苦手になりやすい面もあります。

帝旺(ていおう)

勢いの頂点です。自信とリーダーシップ、押しの強さの星で、自分の判断で道を切り開く力があります。強く出すぎると譲れない頑固さとして表れます。頂点の次は衰へ移るので、力の配分を知ることがこの星を生かす要です。

衰(すい)

頂点を過ぎて落ち着いた段階です。経験に裏打ちされた冷静さ、穏やかな判断力、控えめさの星で、前に出るより支える役で信頼を集めます。守りに入りすぎると、せっかくの経験が生かされにくくなります。

病(びょう)

動きがゆるやかになり、内側に意識が向かう段階です。感受性と想像力、人の痛みに寄り添う共感力の星として読まれます。名前は体の状態を示すものではありません。気を遣いすぎて疲れをためやすいところが影の面です。

死(し)

動きが止まり、静けさの中にある段階です。集中力と、一つのことを深く掘り下げる探究心の星で、表に立つより内側で考え抜く力が強く出ます。こだわりが強すぎると、融通の利かなさとして表れます。

墓(ぼ)

墓は庫(くら)でもあり、ものを納めて蓄える段階です。ため込み、受け継ぎ、研究する星で、堅実さや倹約、伝統や家を大切にする姿勢として表れます。抱え込みすぎて変化を嫌うのが影の面です。蔵の働きについては墓庫の記事も参考になります。

絶(ぜつ)

古い形が絶え、次の命が宿る直前のゼロ地点です。ひらめきと切り替えの早さ、型にはまらない発想の星で、身軽に環境を変えられる強さがあります。気持ちが極端に振れやすく、生活の変化が多くなりがちな面もあります。

8 死・墓・絶・病は悪い星ではない

十二運星の名前は、人の一生を借りたたとえです。死・墓・絶・病という字が付いていても、四柱推命では日干の勢いの段階を表しているだけで、その人や家族に何かが起こるという意味は持ちません。墓は蓄えと保存、死は静かな集中、絶は切り替え、病は感受性というように、それぞれに固有の持ち味があります。

逆に、帝旺や建禄のような勢いの強い星が多ければよい、というものでもありません。日干がもともと強い命式で勢いの強い星が重なると、押しの強さが行きすぎることもあります。十二運星は命式全体のバランスの中で読むものです。

☯点数について:十二運星ごとにエネルギーの点数を付けて合計する流派もありますが、当サイトでは十二運星を点数化していません。日干の強さは、月の季節や蔵干の根、天干の助けを合わせて判断しています。

9 十二運星と大運・年運

十二運星は生まれ持った命式だけでなく、時間の流れにも当てはめられます。10年ごとに巡る大運(たいうん)の地支で日干の十二運星を見ると、その十年に日干がどんな状態に置かれるかがわかります。大運の干支は十年ごとに一つずつ進むか戻るかするので、十二運星も一段ずつ移っていきます。陽の日干で大運が順行なら胎→養→長生の順に進み、逆行なら逆向きにたどります。陰の日干ではこの向きが反対になります。大運の順行・逆行は、生まれ年の干の陰陽と性別で決まります。

例Aの大運と十二運星

例Aの方は生まれ年の干が陽の戊で女性なので大運は逆行、立運は1.71歳(満年齢)です。最初の大運は1990年3月に始まり、以後10年ごとに切り替わります。日干戊の十二運星は次のように移っていきます。

1.7〜11.7歳(1990年3月〜)
戊午の大運 · 帝旺
11.7〜21.7歳(2000年3月〜)
丁巳の大運 · 建禄
21.7〜31.7歳(2010年3月〜)
丙辰の大運 · 冠帯
31.7〜41.7歳(2020年3月〜)
乙卯の大運 · 沐浴(現在)
41.7〜51.7歳(2030年3月〜)
甲寅の大運 · 長生
51.7〜61.7歳(2040年3月〜)
癸丑の大運 · 養

逆行なので、帝旺から建禄、冠帯と、十二運星も逆向きにたどっています。現在の乙卯の十年は沐浴にあたり、変化や模索、新しい環境への感度が高まる時期として読めます。41.7歳の2030年3月から始まる甲寅の大運では長生に移り、学び直しや新しい土台づくりの空気をまとった十年として読まれます。なお、無料の年運予測では大運の区切りを整数の年齢に丸めて表示するため、乙卯の大運は「32〜42歳」と出ます。ただし、これは大運全体のごく一部の見方で、大運の天干の通変星や命式との合・沖も合わせて判断します。大運の基本は大運の記事、通変星の見方は通変星の記事をご覧ください。

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2026年・2027年の十二運星

毎年の流年の地支でも同じように見られます。2026年は丙午、2027年は丁未の年です。流年の切り替わりは元日でなく立春で、2026年の丙午は2月4日5時01分、2027年の丁未は2月4日10時45分からです。年支での日干の十二運星は次のとおりです。

日干2026年・丙午2027年・丁未
甲死墓
乙長生養
丙帝旺衰
丁建禄冠帯
戊帝旺衰
己建禄冠帯
庚沐浴冠帯
辛病衰
壬胎養
癸絶墓

たとえば日干が戊の人は、2026年が帝旺、2027年が衰になります。年の十二運星は一年の空気感を見る参考の一つで、それだけで良い年・悪い年が決まるわけではありません。

10 十二運星を読むときの注意

十二運星だけで強弱を決めない

例Aで見たとおり、月支の十二運星が衰でも、季節や蔵干の支えによって日干が強いことはよくあります。十二運星は日干の勢いの「向き」や「段階」を知る道具と考えると、ほかの要素とぶつかりません。

時刻がわからない場合

時支の十二運星はわかりませんが、日柱・月柱・年柱の十二運星は日付だけで出せます。特に重視される日柱の十二運星は、時刻がわからなくても確認できます。

星の印象より、並び方を見る

一つの星の名前で判断するより、四つの星がどんな流れで並んでいるか、大運でどこへ向かっているかを見ると、十二運星はぐっと立体的になります。

十二運星は吉凶の札ではなく、日干がいま一巡りのどこにいるかを示す目盛りです。

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