四柱推命の命式を出すと、干支の横や下に「比肩」「印綬」「偏官」といった言葉が並びます。これが通変星(つうへんせい)です。難しそうに見えますが、仕組みはごく単純で、決め手は二つの質問だけ。この記事では、通変星の出し方を手順どおりに説明し、10×10の早見表、10の星の意味、天干の通変星と蔵干通変星の違い、命式のどこを見ればよいかまでを一つの実例でつなげて見ていきます。

1 通変星とは――日干から見た「関係の名前」

通変星(十神)は、命式に並ぶ干が、生まれた日の天干である日干(にっかん)から見てどんな関係にあるかを表す名前です。当サイトでは日干を日主(にっしゅ)とも呼び、古い記事では通変星を十神と書いていますが、中身は同じものです。年干・月干・時干の三つの天干と、四つの地支に含まれる蔵干は、すべて日干を基準に十種類のどれかに振り分けられます。

振り分けの基準は、五行の生剋で日干とどうつながっているかと、陰陽が同じか違うかの二点です。五行の関係が五通り、陰陽が二通りなので、5×2で10の星になります。「星」と呼ばれていても、夜空の星を見ているわけではありません。干と干の関係に付けたラベルだと考えると、早見表の意味がすっと入ってきます。

大切なのは、同じ干でも見る人によって星が変わることです。丙という干は、日干が甲の人にとっては食神、日干が壬の人にとっては偏財になります。通変星が表しているのは干そのものの性格より、あなたとの距離感です。十神としての詳しい読み方は十神の解説記事にまとめてあります。ここでは出し方と使い方に絞ります。

通変星
通変星 · つうへんせい
日干との関係を十種類に分けた名前。当サイトでは十神とも呼びます。

2 五つのグループと「偏・正」の決まり

十の星は、五行の関係で五つのグループに分かれます。それぞれのグループに、陰陽が日干と同じ星と、違う星が一つずつ入っています。

グループ日干との関係陰陽が同じ陰陽が違う
比劫(ひごう)日干と同じ五行比肩劫財
食傷(しょくしょう)日干が生む五行食神傷官
財(ざい)日干が剋す五行偏財正財
官(かん)日干を剋す五行偏官(七殺)正官
印(いん)日干を生む五行偏印印綬(正印)

覚え方は「陰陽が同じなら偏、違えば正」です。財・官・印の三グループはそのまま偏財と正財、偏官と正官、偏印と印綬に分かれます。比劫と食傷は名前に偏・正が付きませんが、理屈は同じで、陰陽が同じ側が比肩と食神、違う側が劫財と傷官です。当サイトの別の記事では偏官を七殺、印綬を正印と書いている箇所がありますが、同じ星を指しています。

陰陽が違う組み合わせは引き合って落ち着き、同じ組み合わせは反発して作用が強く偏りやすい、というのが古典の考え方です。だから「正」は安定した働き、「偏」は鋭く変化に富んだ働きとして読まれます。ただし偏が悪く正が良いという意味はありません。

☯五行の生剋のおさらい:相生は木→火→土→金→水→木の順に生み、相剋は木が土を、土が水を、水が火を、火が金を、金が木を剋します。通変星の出し方はこの二つの輪だけで足ります。

3 通変星の出し方――二つの質問で決まる

早見表を使えば一瞬ですが、自分で出せるようになると表の読み違いにも気づけます。まず十干の五行と陰陽を確認しておきましょう。

五行陽の干陰の干
木甲(きのえ)乙(きのと)
火丙(ひのえ)丁(ひのと)
土戊(つちのえ)己(つちのと)
金庚(かのえ)辛(かのと)
水壬(みずのえ)癸(みずのと)

そのうえで、相手の干ごとに次の二つを問います。

  1. 質問1:相手の五行は、日干から見てどの関係か。同じ五行なら比劫、日干が生むなら食傷、日干が剋すなら財、日干を剋すなら官、日干を生むなら印。これでグループが決まります。
  2. 質問2:陰陽は日干と同じか。同じなら比肩・食神・偏財・偏官・偏印、違えば劫財・傷官・正財・正官・印綬。これで星が一つに決まります。

日干が戊(つちのえ、陽の土)の場合で試してみます。後で詳しく見る例Aの命式に実際に出てくる干です。

地支の場合は、地支そのものではなく中に含まれる蔵干(ぞうかん)に対して同じ質問をします。たとえば巳の蔵干は丙・庚・戊なので、日干が戊なら偏印・食神・比肩の三つの星が巳の中にあることになります。

4 通変星早見表(10×10)

左の列で自分の日干を探し、その行を右へたどって、相手の天干(または蔵干)の列と交わるところが通変星です。網かけは日干と同じ干、つまり比肩の位置です。

日干\相手甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
甲比肩劫財食神傷官偏財正財偏官正官偏印印綬
乙劫財比肩傷官食神正財偏財正官偏官印綬偏印
丙偏印印綬比肩劫財食神傷官偏財正財偏官正官
丁印綬偏印劫財比肩傷官食神正財偏財正官偏官
戊偏官正官偏印印綬比肩劫財食神傷官偏財正財
己正官偏官印綬偏印劫財比肩傷官食神正財偏財
庚偏財正財偏官正官偏印印綬比肩劫財食神傷官
辛正財偏財正官偏官印綬偏印劫財比肩傷官食神
壬食神傷官偏財正財偏官正官偏印印綬比肩劫財
癸傷官食神正財偏財正官偏官印綬偏印劫財比肩

表をよく見ると、陽の日干(甲・丙・戊・庚・壬)の行は、ずらしただけで同じ並びが繰り返されているのがわかります。陰の日干の行も同様です。出し方の理屈どおりに並んでいるので、自分の行を一度読み解いておけば、他の人の命式もすぐ追えるようになります。

5 10の星の意味

ここでは各星の芯になる性質と、出すぎたときの影の面を短くまとめます。どの星も単独で吉凶が決まるものではなく、命式全体の中でどう働くかで表れ方が変わります。

比肩(ひけん)

日干と同じ五行・同じ陰陽の、もう一人の自分のような星です。自分の軸を持ち、人に流されずにやり抜く独立心と粘り強さとして働きます。多すぎると頑固さや、人に頼るのが下手な不器用さになりやすく、仲間であると同時に同じものを取り合う相手でもある、という二面性を持っています。

劫財(ごうざい)

同じ五行で陰陽が違う星です。負けず嫌いで、人を巻き込みながら勝負に出る行動力があり、社交性や交渉力として表れます。張り合う気持ちが強く出ると、お金や人間関係の出入りが激しくなりがちです。比肩より外向きで、場の空気を動かす力があります。

食神(しょくじん)

日干が生む、同じ陰陽の星です。おおらかさ、楽しむ力、自然体の表現が持ち味で、衣食住を味わう感覚や、好きなことを形にする才能として出ます。強すぎるとのんびりしすぎて詰めが甘くなることも。古典では偏官の鋭さをやわらげる星としても重視されます。詳しくは食神の記事へ。

傷官(しょうかん)

日干が生む、陰陽の違う星です。鋭い感性と言葉、細部にこだわる完璧主義が特徴で、美意識や批評眼、専門技術の場で力を発揮します。影の面は、率直すぎる物言いや権威への反発、気持ちの浮き沈みです。扱いが難しいぶん、生かせば大きな個性になる星で、傷官の記事で詳しく扱っています。

偏財(へんざい)

日干が剋す、同じ陰陽の星です。動くお金、広い人脈、サービス精神の星で、商才やもてなし上手として表れます。手を広げすぎたり、気前のよさが散財につながったりするのが影の面です。日本の四柱推命では父親を表す星としても読まれます。

正財(せいざい)

日干が剋す、陰陽の違う星です。こつこつ積み上げる誠実さと管理能力の星で、貯蓄や家計、約束を守る信用として表れます。慎重さが行きすぎると保守的になり、変化に踏み出しにくくなります。伝統的には男性の命式で妻を表す星とされています。

偏官(へんかん)・七殺

日干を剋す、同じ陰陽の星です。圧力のかかる場面で動ける決断力と行動力、面倒見のよい親分肌として表れます。短気や無理の重ねすぎ、敵を作りやすいところが影の面です。日干を強く押さえつける星なので、食神や印が近くにあるかどうかで表れ方が大きく変わります。偏官(七殺)の記事も参考にしてください。

正官(せいかん)

日干を剋す、陰陽の違う星です。ルールと責任感、品のよさの星で、組織の中で信頼を積み重ねる力として表れます。体面を気にしすぎたり、型からはみ出せない窮屈さを感じたりするのが影の面です。伝統的には女性の命式で夫を表す星とされています。

偏印(へんいん)

日干を生む、同じ陰陽の星です。ひらめき、独自の視点、専門分野を深く掘る探究心が持ち味で、型にはまらない学び方をします。飽きっぽさや気まぐれ、周囲から浮きやすいところが影の面です。偏印の詳しい読み方は十神の解説記事でも扱っています。

印綬(いんじゅ)・正印

日干を生む、陰陽の違う星です。学ぶ力、知性、名誉、そして守られ支えられる力の星で、母親を表す星でもあります。考えすぎて動き出せない、受け身になる、人に頼りすぎるといった形で影の面が出ます。

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6 天干の通変星と蔵干通変星の違い

命式の通変星には二つの層があります。年干・月干・時干の三つの天干に付く星と、地支の中の蔵干に付く星、つまり蔵干通変星です。天干の星は外に出やすい顔、社会の中で見せる動き方として読まれ、蔵干通変星は内側にある性質や、表に出るまでに時間のかかる力として読まれるのが一般的です。

日本でよく使われる方法:蔵干を一つに決める

日本の四柱推命では、地支に含まれる蔵干のうち一つだけを選び、その通変星を柱の下に書く方法が広く使われています。地支の蔵干を余気(よき)・中気(ちゅうき)・本気(ほんき)に分け、生まれた日が節入り(せついり)から何日目かによってどれを使うかを決める、というやり方です。月支の蔵干を決めるのに使うのが基本ですが、同じ日数を四つの地支すべてに当てはめる表もよく見られます。日数の区切り方は書籍や流派によって少しずつ違います。

当サイトの方法:すべての蔵干を重みつきで数える

当サイトの計算では、地支に含まれる蔵干を一つに絞らずにすべて残し、それぞれに重みを付けて扱います。重みは次のとおりです。

地支蔵干と重み地支蔵干と重み
子癸100午丁70・己30
丑己60・癸30・辛10未己60・丁30・乙10
寅甲60・丙30・戊10申庚60・壬30・戊10
卯乙100酉辛100
辰戊60・乙30・癸10戌戊60・辛30・丁10
巳丙60・庚30・戊10亥壬70・甲30

このため、地支一つにつき星は一つとは限らず、最大で三つ並びます。たとえば日干が戊の人の未は、己60=劫財、丁30=印綬、乙10=正官という三つの星を持つことになります。蔵干の仕組みそのものは蔵干の記事で詳しく説明しています。

だから他のサイトと結果が違うことがある

天干の通変星はどの方法でも同じになります。違いが出るのは蔵干通変星です。日数で一つを選ぶ表なら、未の蔵干は生まれた日によって丁・乙・己のどれか一つになり、丁なら印綬、己なら劫財と表示されます。当サイトでは三つとも重みつきで表示します。

どちらかが間違っているというより、見ているものが少し違います。日数で選ぶ方法は、生まれた時点で強く働いていた気を一つに絞って見る考え方で、重みつきの方法は、地支が抱えている中身全体を量で見る考え方です。ほかのサイトや本と見比べて星が違っていたら、まず蔵干の扱い方の違いを疑ってみてください。

7 通変星は命式のどこを見るか

十の星がどれも同じ重さで並ぶ命式は、まずありません。最初に見るべき場所はおおむね決まっています。

月柱:中心星と呼ばれる場所

日本の四柱推命では、月支の蔵干の通変星を中心星と呼び、その人の性格の土台や、社会での基本的な動き方を表す星として最も重く見ます。月は生まれた季節であり、日干がどれだけの力を得ているかを決める場所でもあるからです。蔵干を重みつきで数える場合は、月支でいちばん重い蔵干(本気)の星と月干の星をあわせて見るのが自然ですが、日数で選ぶ方式とは月支の星が食い違うことがあります。次の例Aがその一つです。

日支:自分の足元

日柱の地支は日干が座っている場所で、自坐(じざ)とも呼ばれます。ここの蔵干通変星は、外からは見えにくい素顔や私生活、パートナーとの関係を読む手がかりになります。日柱の地支は配偶者の宮でもあります。

繰り返し出る星と、どこにもない星

同じグループの星が天干と蔵干に何度も出ていれば、その性質が人柄の前面に出やすくなります。逆に、天干にも蔵干にもないグループは、その分野を自分の外から補う形になりやすく、大運や流年でその星が巡ってきた時期に意識しやすいテーマとして読まれます。蔵干の星が天干にも出ている場合(透干)は、内側の性質がはっきり表に出ていると考えます。

8 例Aで読む:日干が戊の命式

例として、1988年7月12日9時30分に東京で生まれた女性の命式を見てみます(当サイトの計算では真太陽時の補正で9時43分として扱われます)。日干は戊(つちのえ)です。

年柱
戊
辰
比肩
月柱
己
未
劫財
日柱
戊
辰
日干
時柱
丁
巳
印綬
柱天干の通変星蔵干通変星(重み)
年柱(戊辰)比肩戊60=比肩・乙30=正官・癸10=正財
月柱(己未)劫財己60=劫財・丁30=印綬・乙10=正官
日柱(戊辰)(日干)戊60=比肩・乙30=正官・癸10=正財
時柱(丁巳)印綬丙60=偏印・庚30=食神・戊10=比肩

まず月柱を見ると、月干が劫財、月支の未でいちばん重い蔵干の己も劫財です。重みで見れば、負けず嫌いで、自分で道をつかみにいく劫財の性質が土台にあると読めます。ただし、節入りからの日数で蔵干を一つ選ぶ方式では、小暑から数日後の生まれなので、多くの表で未の余気の丁が選ばれ、中心星は印綬になります。『子平真詮』の格局でも、比劫の己では格を立てず、時干に透った丁から印綬格とします(格局の記事の例A)。比劫の自立心と、学びや支えを糧にする印綬の両方を土台として読むのが、この命式には合っています。日支の辰は比肩・正官・正財を含み、私生活では自分のペースを守りつつ、内側に責任感と堅実さを抱えている形です。

全体を見渡すと、天干に出ているのは比肩・劫財・印綬だけで、比劫と印、つまり日干を強める星が表に並んでいます。当サイトの計算でもこの日干は強いと判定されています。一方、正官・正財・食神はすべて蔵干の中にあり、重みも10〜30と控えめです。自分の力や信念は十分にあり、それを何に向けるか、成果や役割にどうつなげるかが読みどころになる命式です。

ちなみにこの方の31.7〜41.7歳の大運は乙卯で、天干の乙は正官にあたります。命式では蔵干の奥にあった正官が、この十年は大運の天干として表に出てくる、という見方ができます。大運の読み方は大運の記事で解説しています。

通変星は一つずつ覚えるより、どのグループが表に出て、どのグループが奥にあるかを見ると命式の輪郭が見えてきます。

9 通変星の組み合わせ:古典的な四つの型

星は単独よりも、隣り合う星との関係で意味が深まります。よく知られた組み合わせを四つ挙げます。どれも命式全体の強弱によって働き方が変わるので、型に当てはめて決めつけないことが大切です。

財
財と官(財生官)
財は官を生みます。稼ぐ力や管理する力が、社会的な信用や立場につながる流れです。正財と正官がそろうと、堅実な組織人の典型的な形とされます。
食
食神と財(食神生財)
食神は財を生みます。好きなことや身につけた技術が、そのまま収入の源になる流れです。楽しんで続けられる仕事で実りやすい形として読まれます。
傷
傷官と正官(傷官見官)
傷官は正官を剋します。鋭さや率直さが、ルールや上下関係とぶつかりやすい組み合わせとして古典で注意されてきました。印が傷官を抑えるか、財が間に入ると流れがやわらぐとされます。
印
偏印と食神(倒食)
偏印は食神を剋します。偏印には倒食(とうしょく)という別名があり、ひらめきや考えすぎが、楽しむ力や表現を止めてしまう形を指します。財が偏印を抑えると和らぐと読まれます。

このほかにも、食神が偏官をやわらげる形や、官と印が支え合う形などがあります。組み合わせの読み方は、十神の解説記事の後半で扱っています。

10 通変星についてよくある疑問

日干には通変星が付かないのですか

日干は基準そのものなので星は付きません。命式の表で日干の位置が空欄になっていたり「日干」「日主」と書かれていたりするのはそのためです。ただし日支の蔵干には通変星が付きます。

他のサイトと通変星が違います

天干の星が違う場合は、命式そのものが違っている可能性があります。当サイトは出生地の経度と均時差による真太陽時の補正を行うため、時刻が節入りや時柱の境目に近いと、柱が変わることがあります。蔵干通変星だけが違う場合は、6章で見た蔵干の扱い方の違いがほとんどです。

出生時刻がわからなくても通変星は出せますか

出せます。時柱が欠けるので、天干の星は年干と月干の二つ、蔵干は年支・月支・日支の三つになりますが、中心星と呼ばれる月柱や日支の星はそろいます。

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通変星と十二運星はどう違いますか

通変星は日干とほかの干との関係を表し、十二運星は日干が各地支の上でどれだけの勢いを持つかを表します。前者は「誰と、どんな関係か」、後者は「どんな状態か」を見る道具です。十二運星については十二運星の記事で早見表とあわせて解説しています。

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