四柱推命で「大運の変わり目」というと、十年ごとに入れ替わる運の柱が次の柱へ移るタイミングを指します。何歳で替わるかは人によって違い、生まれた瞬間と節入りとの距離から計算で決まります。この記事では、その年齢(立運)の出し方を手順どおりに示し、当サイトの計算エンジンで出した四つの命式で確かめたうえで、切り替わりの前後に何を見ればよいのかを整理します。
1 大運と「変わり目」の基本
大運(たいうん)は、命式の月柱を起点に、十年ごとに一柱ずつ進む(あるいは戻る)運の柱です。生まれ持った命式が「どんな素材を持っているか」を表すとすれば、大運はその素材が十年単位でどんな環境に置かれるかを表します。大運の読み方の全体像は大運とは——10年ごとに巡る運の柱の読み方にまとめたので、ここでは切り替わりの時点に話を絞ります。
変わり目に起きるのは、柱の天干と地支が同時に入れ替わることです。命式の中心である日干(にっかん)に対して、昨日までとは別の通変星(十神)と十二運星(じゅうにうんせい、十二長生とも)が働きはじめ、命式の地支と結ぶ合・沖・刑の組み合わせも変わります。なお、当サイトでは日干を日主(にっしゅ)とも表記します。「流れが変わった」と感じられるとき、その中身はこの入れ替えです。
2 立運とは:切り替わる年齢を決める三つの要素
最初の大運が始まる年齢を立運(りつうん)と呼びます。立運が決まれば、その後は十年ごとに柱が替わるので、立運が1.7歳なら11.7歳、21.7歳、31.7歳と、一生分の変わり目がすべて決まります。立運を出すのに必要なのは次の三つです。
- 進む方向:順行か逆行か。生まれ年の陰陽と性別で決まります。
- 節入りまでの時間:順行なら次の節入りまで、逆行なら直前の節入りまで。
- 年齢への換算:3日を1年として直します。
方向:順行と逆行
生まれ年の天干が陽(甲・丙・戊・庚・壬)か陰(乙・丁・己・辛・癸)かと、性別の組み合わせで決まります。
| 生まれ年の天干 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 陽干の年(甲・丙・戊・庚・壬) | 順行 | 逆行 |
| 陰干の年(乙・丁・己・辛・癸) | 逆行 | 順行 |
順行の人は月柱から六十干支を先へ進み、逆行の人は前へ戻ります。注意したいのは、四柱推命の「生まれ年」が立春で切り替わることです。1月1日から立春の前までに生まれた人は前年生まれとして扱われ、年干も前年のものになります。「西暦の偶数年は陽、奇数年は陰」という覚え方は、立春以降の生まれにだけ当てはまります。
節入りまでの時間:どの節入りを使うか
節入りは、月の干支が切り替わる瞬間です。二十四節気のうち、立春・啓蟄・清明・立夏・芒種・小暑・立秋・白露・寒露・立冬・大雪・小寒の十二の「節」だけを使い、雨水や春分などの「中気」は数えません。順行の人は生まれた瞬間から次の節入りまで、逆行の人は生まれた瞬間からさかのぼって直前の節入りまでの時間を測ります。言い換えると、逆行なら生まれた月(月柱)が始まった節入りまで、順行なら次の月が始まる節入りまでです。下の例でいえば、未月生まれの例Aは小暑、寅月生まれの例Bは立春がその節入りにあたります。
換算:3日=1年
測った時間を、3日=1年の割合で年齢に直します。細かい単位まで直すと次のとおりです。
| 節入りまでの時間 | 年齢に換算すると |
|---|---|
| 30日 | 10年 |
| 3日 | 1年 |
| 1日 | 4か月 |
| 2時間(一つの時辰) | 10日 |
| 1時間 | 5日 |
1日=4か月(約120日)を24で割ると、1時間=5日、2時間=10日になります。節入りの間隔はおよそ30日なので、立運はおおむね0歳から10歳のあいだに収まります。逆行で節入りの直後に生まれた人は立運がごく早く、直前の節入りから離れているほど遅くなります。
3 実例で確かめる:逆行の三例と順行の一例
当サイトの計算エンジンで出した四つの命式で、立運と切り替わりの年齢を見てみます。例A〜例Cは逆行、例Dは順行です。逆行の三例も理由は同じではなく、例Aと例Cは陽干の年に生まれた女性、例Bは陰干の年に生まれた男性です。
| 例 | 生まれ | 年柱 | 方向 | 立運 |
|---|---|---|---|---|
| 例A | 1988年7月12日9時30分、東京・女性 | 戊辰(陽) | 逆行 | 1.71歳 |
| 例B | 1975年3月3日6時15分、大阪・男性 | 乙卯(陰) | 逆行 | 8.81歳 |
| 例C | 1996年11月24日21時40分、札幌・女性 | 丙子(陽) | 逆行 | 5.79歳 |
| 例D | 1983年2月4日8時00分、福岡・男性 | 壬戌(陽) | 順行 | 0.15歳 |
立運を日数に戻すと、例Aは直前の小暑までおよそ5.1日、例Bは直前の立春までおよそ26.4日、例Cは直前の立冬までおよそ17.4日、例Dは次の立春までおよそ0.45日(半日足らず)です。例Bで換算の手順をたどってみます。26.4日はおよそ26日と10時間。26日を3で割ると8年と余り2日で、2日は8か月。10時間は50日なので、合計で8年9か月と20日ほど、つまり8.81歳です。
例A:1.7歳から十年ごとに
通変星の名前は日本で一般的な呼び方で書きます。偏官(七殺)、印綬(正印)のように、当サイトのほかの記事では別名で出てくる星もあります。
ここでの年齢はすべて満年齢(誕生日を起点に数える年齢)で、生まれた年を1歳とする数え年ではありません。このサイトの年運予測では、現在の大運を「32〜42歳」のように整数に丸めて表示します。また大運の一覧表によっては、31.7歳からの柱を、満31歳になる年に合わせて「2019年〜」と書くこともあります。どれも同じ柱を指していますが、満年齢で31.7歳に達するのは2020年3月27日ごろです。当サイトの計算では、立運の年数を1年=365.2425日として日数に直し、生まれた瞬間に足して切り替わりの日を出しています。変わり目の時期を具体的に考えるときは、年齢の小数点まで見てください。
例B・例C:現在の大運と次の大運
| 現在の大運 | 次の大運 | |
|---|---|---|
| 例B・日干は戊(つちのえ) | 癸酉(正財)48.8歳から。2023年12月23日ごろ | 壬申(偏財)58.8歳から。2033年12月22日ごろ |
| 例C・日干は乙(きのと) | 丙申(傷官)25.8歳から。2022年9月11日ごろ | 乙未(比肩)35.8歳から。2032年9月10日ごろ |
例D:順行の例と、立春の日の生まれ
例Dは1983年2月4日8時、福岡生まれの男性です。日付は立春の日ですが、この年の立春の瞬間は生まれた時刻より後でした。そのため年柱は前年の壬戌(みずのえいぬ)、月柱も癸丑のままです。西暦では奇数の1983年でも、四柱推命では陽干の年に生まれた男性になるので、大運は順行します。次の節入りは同じ日のうちに来る立春で、そこまでは半日足らず。立運は0.15歳、日付にすると1983年3月30日ごろで、最初の大運は月柱の癸丑から一つ進んだ甲寅です。
その後も変わり目は毎回3月末ごろに来ます。日干の癸(みずのと)から見ると、現在は40.1歳からの戊午(正官、絶)で、2023年3月30日ごろに始まりました。次は50.1歳からの己未(偏官、墓)で、2033年3月下旬ごろです。
4 計算サイトによって1年ずれる理由
同じ生年月日を入れても、本やサイトによって立運が1年前後ずれることは珍しくありません。どちらかが間違っているとは限らず、多くは次の違いから来ています。
- 数え年か満年齢か:古い万年暦には、立運を数え年で載せているものがあります。数え年は生まれた年を1歳とし、元日ごとに1歳を加えるので、満年齢より1〜2歳大きく出ます。
- 端数の処理:日数を3で割った余りを切り捨てるか、四捨五入するか、月単位まで残すか。立運を「3歳運」「4歳運」のように整数で示す流儀では、この違いだけで1年近く動きます。
- 節入りの精度:節入りを日付だけで扱うか、分単位の時刻まで使うか。節入り当日の生まれでは、月柱そのものが変わってしまうこともあります。
- 出生時刻と真太陽時:時刻がわからないときに正午とみなすか、出生地の経度と均時差で補正した真太陽時を使うか。当サイトは真太陽時で命式を立て、節入りも正確な時刻で比べています。補正の幅は、例Aの東京7月で+13.4分、例Cの札幌11月で+37.7分です。
- 年への置き換え方:例Aのように、柱の始まりを「その年齢を迎える年」で書くか、「小数点まで含めた年齢に達する年」で書くかで、表示上の年が1年ずれます。
なお、1時間の差は年齢にして5日分にすぎないので、時刻が多少ずれても変わり目が何年も動くことはありません。気をつけたいのは節入りの前後に生まれた人で、時刻しだいで月柱が替わり、大運の並びごと変わる可能性があります。
5 変わり目で入れ替わる四つのもの
大運が替わると、具体的には次の四つが入れ替わります。
- 天干の通変星:新しい大運の天干が、日干から見て何の星にあたるか。仕事・お金・人間関係のどのテーマが表に出やすいかの目安になります。
- 地支の十二運星と蔵干:日干がその地支でどんな勢いにあるか(十二運星)と、地支に隠れた蔵干(ぞうかん)が何の通変星か。
- 原局との合・沖・刑:大運の地支が、命式の日支(配偶者の位置)や月支(生まれた季節で、命式の土台)と結ぶか、ぶつかるか。天干どうしの干合も見ます。
- 用神・忌神との関係:その十年の五行が、命式のバランスを整える側(用神)に働くのか、偏りを強める側(忌神)に働くのか。
四つ目がもっとも重要ですが、用神は日干の強弱や季節など命式全体から判断するもので、星の名前だけでは決まりません。考え方は用神とはで解説しています。ここでは三つの例で、一つ目から三つ目までを並べてみます。
| 例A 乙卯→甲寅 | 例B 癸酉→壬申 | 例C 丙申→乙未 | |
|---|---|---|---|
| 日干 | 戊 | 戊 | 乙 |
| 天干の通変星 | 正官→偏官 | 正財→偏財 | 傷官→比肩 |
| 地支の十二運星 | 沐浴→長生 | 死→病 | 胎→養 |
| 次の地支の蔵干 | 甲(偏官)・丙(偏印)・戊(比肩) | 庚(食神)・壬(偏財)・戊(比肩) | 己(偏財)・丁(食神)・乙(比肩) |
| 次の大運と原局の主な関係 | 甲が月干の己と干合。寅が時支の巳と刑・害 | 申が月支の寅と沖・刑(原局の寅申沖に重なる) | 未が日支の丑と沖・刑、年支の子と害。月支・時支の亥とは半合(木) |
例A:正官から偏官へ
同じ「官」の星でも、正官は秩序や評価の中で役割を担う星、偏官は圧力や競争、急な責任を引き受ける星です。十二運星は沐浴から長生へ移ります。さらに新しい天干の甲は月干の己と干合し、地支の寅は時支の巳と刑・害の関係を作ります。エンジンの判定では、この命式は土が68%を占める身強です。強い日干にとって官殺は力の向け先になりやすいと読まれますが、干合や刑がどう働くかまで含めて見るのが本筋です。
例B:正財から偏財へ
現在の癸酉では、天干の癸が日干の戊と干合し、地支の酉は年支・時支の卯と沖しています。次の壬申では、申が月支の寅とぶつかり、もともと命式にある寅と申の沖・刑を重ねる形になります。エンジンの判定は身弱で、木が60%と強い命式です。財の十年をどう生かすかは、日干を支える星の巡りとあわせて見ることになります。
例C:傷官から比肩へ
天干は、才能や表現の星から、自分と同じ気の星へ替わります。五行そのものが火から木へ移るので、三例の中ではいちばん質の違う切り替わりです。地支の未は日支の丑と沖し(丑と未は刑の関係にもあたります)、年支の子とは害、月支・時支の亥とは亥卯未の半合を作ります。日支は配偶者の位置とされるため、伝統的な読みでは、家庭やパートナーとの関係が動きやすい配置として注目されます。
6 交運:前後1年が揺れやすいと言われる理由
大運が切り替わる時期を、古くから交運(こううん)と呼びます。実践家のあいだでは、切り替わる時点の前後それぞれ1年ほどが、どちらの柱ともつかない不安定な時期になりやすいと言われてきました。前の柱の課題が締めくくりに入り、次の柱の要素が少しずつ顔を出すので、仕事や住まい、人間関係の見直しが重なりやすい、という観察です。
これは法則というより経験則です。切り替わりの前後に目立ったことが何も起きない人もいますし、前後の柱の性質が似ていれば変化はあまり感じられません。例Aの正官から偏官のように同じ五行の陰陽が替わるだけの場合と、例Cの傷官から比肩のように五行ごと替わる場合とでは、揺れの大きさが違って当然です。
交運の時期を読むときは、その年の流年も重ねます。流年が新しい大運の地支を沖する、あるいは原局の日支と合を作る、といった重なりがあると、切り替わりがはっきり感じられやすいと読まれます。一年ごとの見方は流年とは——BaZiで読む「今年の運」で解説しています。
7 前半5年は天干、後半5年は地支なのか
大運の十年を前後半に分け、最初の5年は天干、残りの5年は地支の影響が強いとする読み方があります。日本の本でもよく見かける方法で、天干は表に見える動き、地支は生活の土台に関わる、という考え方とも結びついています。
一方で、天干と地支は一つの柱として切り離せないとして、十年を通して柱全体で読む立場もあります。季節の力を持つ地支のほうを大運の主役として重く見る考え方もあります。どれを採るかは流派によって異なり、この記事では柱全体を十年として読む立場で説明しています。
8 大運の変わり目と結婚
「大運が替わった年に結婚した」という話はよく聞きますが、変わり目そのものが結婚を約束するわけではありません。伝統的な四柱推命が結婚の時期を考えるときに注目するのは、主に次の点です。
- パートナーの星が巡るか:伝統的には、男性は財(正財・偏財)、女性は官(正官・偏官)をパートナーの星とします。新しい大運の天干や蔵干にその星が入るかを見ます。
- 日支との合・沖:日支は配偶者の位置(配偶者宮)とされます。大運の地支が日支と六合や三合を作れば縁が結ばれやすい形、沖すれば関係のあり方が動く形として読まれます。沖は別れだけを意味するものではなく、結婚・同居・転居など「状態が変わること」全般に出うるとされます。
- 流年との重なり:大運は十年の気候のようなもので、具体的な年は流年で絞り込みます。
三つの例に当てはめると、例Cの女性は、現在の丙申大運の地支・申に、女性にとって夫の星とされる正官(庚)が蔵干として含まれています。次の乙未大運では、未が日支の丑と沖します。例Bの男性は、現在の癸酉大運で妻の星とされる正財(癸)が天干に巡り、日干の戊と干合しています。いずれも「パートナーとの関係がテーマになりやすい配置」とは読めますが、それが出会いになるのか、結婚生活の見直しになるのか、家族の形が変わるのかは、命式全体と本人の状況しだいです。
現代の鑑定では、性別で星を固定する読み方にこだわらず、財と官の両方や日支の動きを中心に見る実践家もいます。結婚は本人どうしの選択で決まるもので、大運が示すのはその時期の空気だと考えてください。命式でパートナーを読む方法はBaZiでみる結婚運で詳しく扱っています。
9 変わり目に向けた備え方
変わり目が近いとわかったら、次のような準備をしておくと、新しい十年に入りやすくなります。
- 今の十年を振り返る:今の大運が始まったころから、何が育ち、何が終わりかけているか。書き出してみると、次の柱へ持っていくものと手放すものが見えてきます。
- 最初の1年に大きな賭けをしない:新しい柱の性質は、入ってすぐにはつかみにくいものです。転職や独立、大きな借入れなどは、できれば新しい柱の流れを1年ほど見てから決めるほうが無理がありません。
- 流年を重ねる:切り替わる年とその前後の年の流年が、新しい大運や原局と何を作るかを確かめておきます。
- 次の十年の通変星を知っておく:財の十年ならお金の扱い、官の十年なら役割と責任、印の十年なら学びと準備、というように、テーマを先に知っておくと動き方を考えやすくなります。仕事の山場との関係はキャリアのピークはいつ訪れるかも参考にしてください。
これからの十年を、一年ずつ見ておきたい方へ
「これからの十年」は、「スタンダード」の全内容に、十年を扱う3章を加えた鑑定です。いまの大運の読み解き、この十年の一年ごとの流れ、次に向けた一歩をまとめ、今後10年の年表をつけてお届けします。出来事を約束するものではありません。
「これからの十年」 · US$35.9010 よくある質問
大運の変わり目の年は、運が悪いのですか
変わり目は良し悪しを示すものではありません。交運の前後が揺れやすいと言われるのは、二つの柱が入れ替わる途中だからで、その先の十年が穏やかか厳しいかは、新しい柱が命式とどう関わるかで決まります。
出生時刻がわからなくても立運は出せますか
おおよそは出せます。1時間の差は5日分なので、一日のうちのどの時刻かわからない場合でも、ずれは前後2か月ほどに収まります。ただし時柱は立てられず、節入りの当日に生まれた人は月柱も確定しないため、大運の並びが変わる可能性があります。
大運はいくつまで続きますか
大運は十年ごとに途切れなく続きます。一覧表では九つ前後の柱を示すのが一般的で、例Aなら1.7歳から91.7歳までが並びます。生まれ持った命式の型から読む方法は格局とはにまとめています。
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